夜間頻尿①

泌尿器科
Man with rolls of paper sitting on toilet bowl at home

こんにちは、e-URO2023です!

みなさん、夜はぐっすり眠れていますか?

トイレで目が覚めることはありませんか?

今回は、日本だけでなく世界で問題になっている夜間頻尿について取り上げたいと思います。

夜間頻尿って何?

「夜間頻尿」って聞いたことはありますか?

その名の通り、夜の間に頻尿(頻繁におしっこのためにトイレに行く)となる症状です。

夜の間、といいますが、具体的には「寝ている間」です。

つまり寝ている間に、おしっこが我慢できなくて目が覚め、トイレに行く状態を「夜間頻尿」と言います。

夜の間でも、夕ご飯を食べたあとにトイレに行く場合や、寝る前にトイレを済ませておく場合などは「夜間の排尿」には含まれませんので、ご注意ください!

夜間頻尿ガイドライン


夜間頻尿で困っている患者さんは非常に多いので、泌尿器科の診療でも体感的には一番多い症状なのではないか、と思います。

そのため2020年には「夜間頻尿診療ガイドライン(第2版)」が作成され、泌尿器科医を中心に広く使われています1)

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この中で、夜間頻尿の定義が記載されています。

夜間頻尿とは、夜間に排尿のために1回以上起きなければならないという愁訴である。

夜間頻尿ガイドライン{第2版}

つまり、寝ている間に1回でも、起きてトイレでおしっこをした場合には、この「夜間頻尿」に当てはまるということです。

結構そういう人、多いと思いませんか?

夜間頻尿診療ガイドライン(第2版)では、夜間頻尿がある人の割合は「若年者で10-30%、高齢者で40-80%」と報告しています。

これは、海外の論文も含めた1997年から2019年までの報告をまとめた結果です1)

日本人にしぼるとどうでしょう?

Hommaらが2006年に40歳以上の日本人4,570名を対象に調査した結果によりますと、1回以上の夜間頻尿は69%にあったとのことです。

なんと7割近い日本人が、40歳を超えると1回以上トイレで目が覚めているんですね。

また、この研究では夜3回以上おしっこで目が覚める人(重症です)の割合は14%であったとのことです2)

泌尿器科医としては、1回のみであれば治療対象としては考えにくいです。

先程示しましたが、1回だけの夜間頻尿であれば、40歳以上の方の7割ですからね!

日本人の夜間頻尿:より具体的に

総務省統計局からのデータをもとに計算してみました…3)

2021年10月1日現在、日本在住の40歳以上は7,700万人です。その7割ですから、5,394万人が少なくとも「夜間頻尿」ということになります。

もちろん、40歳未満の方でも夜間頻尿の人はおられますが、圧倒的に高齢者の方に多い症状ですし、泌尿器科に受診される方のほとんどが高齢者の方ですので、40歳未満は省きます。

5,394万人…すごい数ですよね。

2021年10月1日時点での日本の総人口は1億2550万2千人、ですので、ざっくり日本人の43%が夜間頻尿ということになります。

ですが、これら夜間頻尿の方、全てに精密検査や治療が必要というわけではありません。

 ”夜間頻尿の定義に当てはまっている”ことと、”治療が必要”なことは別問題です。

何を隠そう、私も40歳以上の定義に当てはまりますし(2023年時点)、夜1回はトイレで目が覚めます。

でも泌尿器科で薬をもらってもいませんし、精密検査も受けていません。

「夜間頻尿で、困っている

困っている、からこそ泌尿器科に意を決して受診するんですよね。

私も、困っていない、から検査も治療も受ける必要がありません。

どれぐらいの頻尿であれば困る人が増えるのか、夜間頻尿が日常生活にもたらす影響はどんなものがあるのか?

次回は夜間頻尿について、より深く掘り下げていきます!

参考文献

1) 夜間頻尿診療ガイドライン(第2版)

2) Homma Y et al; members of the Neurogenic Bladder Society Committee. Urology, 68: 560, 2006.

3)総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html

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